理屈を吹き飛ばす“熱血サラリーマン漫画”の決定版
今回紹介するのは『サラリーマン金太郎』です。
この作品をひとことで言うなら、「破天荒な男が会社社会に飛び込み、常識をぶち破りながら道を切り開いていく熱血サラリーマン漫画」です。
「サラリーマンをなめんじゃねー!」
このあまりにも有名なセリフを、一度は耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
漫画にとどまらず、ドラマ化・映画化も何度もされている作品なので、タイトルだけでも知っている人はかなり多いはずです。
そして作者は、本宮ひろ志さん。『俺の空』『男一匹ガキ大将』など、数々の“男の生き様”を描いてきた大御所中の大御所です。
その本宮作品の中でも、個人的にNo.1だと思っているのが、この『サラリーマン金太郎』です。
今回は、そんなこの作品の魅力を、自分なりの視点で書いてみたいと思います。
目次
この作品はどんな漫画か
主人公は、矢島金太郎。
元・関東最大の暴走族集団「八州連合」の頭という、とんでもない経歴を持つ男です。
そんな金太郎が、一流企業であるヤマト建設に入社し、サラリーマンとして働き始めるところから物語は動き出します。
普通に考えれば、企業社会にもっともなじまなそうな人物です。
けれど、この作品の面白さはまさにそこにあります。
会社という組織の中で、常識外れの男が、常識外れのやり方で人の心を動かし、結果を出していく。
時にはトラブルを抱え、時には自ら問題の火種を生みながらも、その圧倒的な行動力と人間力で道を切り開いていく姿が描かれます。
サラリーマン漫画ではあるのですが、いわゆる“リアルな会社員の日常”を淡々と描く作品とは少し違います。
むしろ、会社という舞台を使って、ひとりの男の生き様を全力で描き切る漫画と言ったほうがしっくりきます。
さらに本編全30巻の後も、
『マネーウォーズ編』
『新サラリーマン金太郎』
『サラリーマン金太郎 順不同編』
などシリーズが続いていくので、矢島金太郎という男の人生を長く追いかけられるのも、この作品の大きな魅力です。
ここが面白い
この作品の面白さは、まず何より熱量です。
金太郎は、理屈や損得だけでは動きません。
自分が正しいと思ったこと、人として筋が通っていると思ったことのために、とにかく全力でぶつかっていきます。
もちろん、そのやり方は荒っぽいですし、現実の会社で本当に全部通るわけではありません。
でも、だからこそ面白い。
現実ではなかなかできないからこそ、読んでいて胸が熱くなるんですよね。
また、この作品は単なる“勢いだけの漫画”ではありません。
会社の論理、出世、権力争い、人間関係、経営の問題など、サラリーマン社会の要素もしっかり入っています。
その中に、金太郎という規格外の人物を放り込むことで、独特の熱さが生まれているんです。
そしてもう一つ大きいのが、90年代の空気感です。
当時のビジネスの熱、勢い、男社会の濃さ、企業社会の価値観。
今読むと時代性を強く感じる部分もありますが、それも含めてこの作品の味になっています。
現代的なスマートさやロジカルさとは違う、むき出しの気迫で仕事にぶつかっていく感じ。
この時代の熱を漫画として体感できるのは、大きな魅力だと思います。
この作品が刺さる人
この作品は、こんな人におすすめです。
仕事漫画、ビジネス漫画が好きな人
熱血主人公が突き進む作品が好きな人
理屈よりも“人間力”に惹かれる人
90年代の企業社会や時代の熱気を味わいたい人
読んでいて元気が出る漫画を探している人
逆に、繊細で静かな心理描写や、現実にかなり近いビジネス描写を求める人には、少し豪快すぎると感じるかもしれません。
ただ、**「漫画なんだから、ここまで熱くていい」**と思える人にはかなり刺さる作品だと思います。
私が特に好きなポイント
個人的にこの作品で特に好きなのは、金太郎が“人との出会い”で道を切り開いていくところです。
もちろん本人の胆力や行動力がすごいのは大前提なのですが、この作品は決して一人で全部をねじ伏せるだけの話ではありません。
金太郎のまっすぐさに心を動かされた人たちが力を貸し、そのつながりの中で物事が動いていく。
この流れがすごくいいんです。
そして、金太郎自身も数々のピンチに遭いながら、ただ無敵なだけではなく、何度ももがき、悩み、ぶつかりながら前に進んでいきます。
その生き様には、正直かなり泣かされました。
※ここから少しネタバレを含みます。
この作品は、サラリーマンとして出世していく過程そのものももちろん面白いのですが、それ以上に、金太郎がどんな立場になっても“金太郎のまま”でいるところが魅力だと思っています。
普通なら、出世していく中で丸くなったり、組織の論理に飲み込まれたりしそうなものです。
でも金太郎は、立場が変わっても根っこの熱さを失わない。
このブレなさが、読者にとっての気持ちよさにつながっているのだと思います。
まとめ:なぜ今すすめたいのか
『サラリーマン金太郎』は、リアルな会社員漫画というより、働くことをめぐる熱と気迫を全力でぶつけてくる漫画です。
あり得ない展開も多いです。
現実ならそんなにうまくいかないだろう、と思う場面もたくさんあります。
でも、だからこそ面白い。
理屈を超えて、「こういう男がいたら確かに周りを変えるかもしれない」と思わせる強さがあります。
同じサラリーマン漫画の代表格でも、『島耕作』が組織や時代を俯瞰しながら読む作品だとしたら、
『サラリーマン金太郎』は、もっと感情に火をつけてくる作品です。
どちらをお手本にしたいかは人それぞれですが、
島耕作のように組織を泳ぐか、矢島金太郎のように真正面からぶつかるか。
そんな対比で読むのも面白いと思います。
特に、今仕事に燃えたい人、最近少し元気が足りない人、ビジネス漫画で熱くなりたい人にはかなりおすすめです。
20代の人が読むと、90年代の仕事観の熱量に驚くはずですし、社会人経験のある人が読むとまた別の刺さり方をするはずです。
気になった方は、ぜひ一度手に取ってみてください。
シリーズを通して読むと、矢島金太郎という男の生き様がより深く見えてきます。今回は『サラリーマン金太郎』を紹介しました。
これからも「明日、誰かにすすめたくなる漫画」を、1日1作品ずつ気ままに書いていこうと思います。