長年、ひとつの道を積み上げてきた。
真面目に、誠実に、信頼を築いて、昇進して、責任も増えて、気づけば「ベテラン」と呼ばれる立場にいた。
けれど、ある日ふとした瞬間に胸をよぎった——
「私の人生でやりたかったこと何だったけ??」という違和感。
うまく言葉にはできない。でも、その感覚は確かにそこにあった。
周囲は言うかもしれない。
「もったいないよ」
「ここまでやってきたのに」
「安定してるのに、なんで?」
そう言われるたびに、自分でも揺れる。
年齢的にも、世間で言えば「ミッドライフクライシス」と呼ばれる時期かもしれない。
でも私はそれを、人生の「問い直し」のタイミングだと思っている。
量をこなしてきたからこそ、わかる。
「これは本当に自分のやりたいことなのか?」
「このまま終わって、後悔しないか?」
人生は一度きり。
その当たり前の事実が、リアルに感じられる瞬間があった。親に介護が必要で車いすになった時だ。
いつまでも健康で自由に動き回れる訳じゃない、人生の時間には限りがある。そうやって、親は最後まで、背中を見せてくれる存在なのだ。
人生の残りの時間を、定年までの時間を、会社に捧げるのが、本当に欲しかった人生だろうか?強く思わされた。
積み上げたキャリア、安定、役職、肩書き、福利厚生。
それらを手放すことは怖い。
でもその怖さの奥に、答えが見えないからこその、新しい事へのワクワク感もある。
本当の意味での「決断」とは、「何かを断つ」と書く。
新しいことを始めるには、何かを終える勇気がいる。
葉っぱだって古いものが落ちたら新しいものが芽生えてくる。
自分の内なる声に正直でありたい。
誰かの期待ではなく、世の中で信じられていそうな「幸せテンプレート」でもなく、自分の人生を、自分で選びたい。
そんなふうに思えた、それはきっとライフシフトのサイン。
今からでも遅くない。
むしろ、これまでの経験があるからこそ、次の一歩はもっと深く、もっと本質的になる。
人生の後半を、より自分らしく、生きていくために。
私は、変わること、ライフシフトを選ぶ。