先日、福岡行きスカイマークの便に乗ったときのこと。
客室乗務員の中に男性の方がいらして、ふと「時代が変わったなあ」と感じました。
欧米エアラインでは、ずっと前から
思い返せば、20年ほど前にオランダ航空に乗ったときにも、すでに男性のCA(客室乗務員)が活躍していました。
コロナ前に利用したユナイテッド航空でも、男性CAさんは当たり前の存在。
ようやく日本の航空会社も、国際的な感覚に近づいてきたのかなと思います。
飛行機=“特別な人”の乗り物だった時代
日本で本格的に民間旅客機が飛びはじめたのは、1952年。
この年、日本航空(JAL)が東京〜大阪〜福岡を結ぶ定期便をスタートさせ年間の航空旅客数はわずか19万人ほどでした。
運賃は大卒初任給に匹敵するほど高く、飛行機で移動できたのはごく一部のエリートビジネスマンやエリート公務員、富裕層に限られていました。
旅行や帰省で飛行機を使うのは、まさに“夢のまた夢”。
「空を飛ぶこと」は、今とはまったく違う“特別な体験”だったのです。
なぜ“女性らしさ”が求められたのか
そんな背景のなかで、機内サービスには「女性らしい」きめ細やかさが期待されていたのでしょう。
客室乗務員=女性、という構図は、時代とともに“当たり前”として定着していきました。
あの、やや芝居がかったような丁寧すぎるアナウンスも、男性客を意識した「演出」だったのかもしれません。
また、当時はまだ女性が社会で働く機会そのものが限られていた時代でもありました。
その中で「客室乗務員」という仕事は、女性が外で活躍できる数少ない華やかな職業のひとつでもあったのです。
制服姿に憧れた若い女性たちが目指す職業にもなりました。
現代の空は誰にでも開かれている
それから70年あまり。
今では飛行機は、年間の国内旅客数が1億人を超える、ごく普通の移動手段になりました。
老若男女を問わず、外国人も、旅行・帰省・出張など、さまざまな目的をもった人々が空を行き交う時代です。
利用者が多様になったからこそ、そこに関わる働き手の側にも、より幅広い多様性が求められているように思います。
「〇〇女子」からの脱却と新しい働き方
最近では、「〇〇女子」といった性別による表現を見直す動きも進んでいます。
イメージや役割を性別で固定しないという意識が、ようやく少しずつ根づいてきた証でもあります。
“誰がどんなふうに働いてもいい”という空気が、社会にも空の上にも広がっていくといいなと思います。
空の上にも、多様性という風を
空を飛ぶという行為が、一部のエリートたちの特別な体験ではなくなった今、
その空間で働く人たちの姿もまた、自然で、多様であってほしい。
2時間弱のフライトでしたが、そんなことを思わせてくれる、時代の変化を感じたひとときでした。