子育て中の友人の一言から
小さなお子さんを育てている友人が、「最近、子どもと一緒にクレヨンしんちゃんを観てるんだ」と話してくれました。そこでふと彼女が言ったんです。
「しんちゃんのママ、みさえさんって専業主婦だけど、今ってもう、ああいう家族像って少数派じゃない?」
共働きが“当たり前”になった今
たしかにその通り。今の時代、小さな子どもを育てながら働いているママは決して珍しくありません。むしろ共働きが当たり前になってきた今、「専業主婦のママ」という設定には、もはや、共感やリアリティを感じにくいのかもしれません。
ジェンダー役割の無意識な刷り込み
「サザエさん」や「ドラえもん」など、長年続く“国民的アニメ”にも同じことが言えるでしょう。昭和から続くこれらの作品に共通するのは、家庭内での役割がはっきり分かれていること。ママは家事と育児、パパは仕事——そんな構図が、何十年も変わらず描かれ続けています。
そして実は、こうしたアニメを通じて、私たちは幼い頃から「家の中での男女の役割」を自然に学んできたのかもしれません。気づかぬうちに、「ママは家にいるもの」「パパは外で働くもの」といったイメージを無意識に刷り込まれていた……そんな可能性もあります。
メディアの多様化がもたらす変化
けれども、最近は時代の流れとともに、少しずつ変化も見られます。Netflixなど動画配信サービスの普及や、地上波以外のメディアの多様化によって、アニメやドラマのジャンルもぐっと広がりました。その結果、描かれる家族のかたちや、女性像・男性像にも幅が出てきています。
たとえば、バリバリ働く女性や、育児に奮闘する男性、ジェンダーに縛られないキャラクターなど、かつては“例外”として描かれていた存在が、いまは普通に登場するようになっています。少しずつだけれど、あらゆる立場の人が自分を投影できるキャラクターが増えてきたのは、うれしい変化です。
CMや職業にも見るジェンダーの変化
洗剤のCMにイケメン俳優が起用されたり、男性の化粧品CMも当たり前になりつつあります。看護師や客室乗務員といった職業にも男性が増え、反対に、医師や運転手、パイロットなど、以前は“男性の仕事”とされていた職業に就く女性も目にするようになりました。
制服に関しても、女子生徒がスカートではなくパンツスタイルを選べる学校が少しずつ増えてきているそうです。
未来のアニメに期待すること
こうした変化を見ると、社会は少しずつではあるけれど、確実に「多様性」や「選択の自由」を大切にする方向へと動いている——そんなふうに感じます。
昭和の価値観に根ざしたアニメたちも、いつか時代の空気に触れ、新しい「家族のかたち」を描いていく日が来るかもしれません。しんちゃんのママが、しんちゃんとひまわりちゃんの産休と育休中だったけど、会社に職場復帰して時短で働く設定などなど。 そうなる未来を、私は楽しみにしています。