日本で、ようやく初の女性首相が誕生した。
台湾や韓国、フィリピン、そしてドイツやイタリアなど、すでに女性リーダーが活躍してきた国もあれば、
アメリカや中国のように、いまだ女性の国家元首が誕生していない国もある。
なぜ、ある国では女性トップが生まれ、
ある国ではそうならないのか。
女性の国家元首が生まれやすい「条件」があるのか、少し考えてみた。
1.社会の土台と文化的背景
女性リーダーが誕生する背景には、個人の努力だけではなく、文化的な背景もある。
ドイツでは、戦後の教育改革と社会保障制度が整い、
女性が大学や研究機関で専門職として働く機会が広がった。
その土台の上に登場したのが、物理学者出身のアンゲラ・メルケル首相。
専門性と実績を持つ女性リーダーが自然に受け入れられる社会的環境が整っていた。
台湾でも同様に、女性の高学歴化と社会進出が進み、
若い世代の間で「女性が政治を担う」ことが特別ではなくなっていた。
蔡英文総統は、米国留学後に法律家・教授として実績を積み、
“知的で現実的なリーダー像”として信頼を得ていた。
一方、日本や中国では、儒教的な家父長制の価値観が、
今も無意識のレベルで根づいている。
「家庭は女性、社会は男性」という役割分担が、
教育やメディアを通じて自然に刷り込まれている。
たとえば、子どもが何気なく観るアニメ。
『ドラえもん』では、のび太のママは家庭にいて、しずかちゃんはリーダーというより、後ろで見守る感じ、
『サザエさん』では、女性たちが家事を担い、
『クレヨンしんちゃん』でも、ママは家を守り、パパは仕事へ。
こうした描写が“当たり前”として育つ社会では、
「リーダー=男性」という無意識の前提がなかなか崩れない。
私も、2024年まで民間企業で働いていたが、2024年でも女性管理職は一人もいなかったし、訪問先の企業さんでも女性管理職の方には出会った事が無かった。
文化的な背景は、根強い。
男でも首相になれるの?ドイツで、子どもがよく大人に尋ねる質問とのこと。
2.制度の柔軟性
次に大きな要因は、政治制度の違い。
台湾やフィリピンのように「国民が直接大統領を選ぶ制度」では、
派閥や世襲よりも“個人の人気と政策力”が重視される。
蔡英文総統やアキノ元大統領はいずれも、
国民の期待に応える「変革の象徴」として選ばれた。
一方、日本や中国のように「党内の推薦や序列」を経てトップを選ぶ国では、
男性中心のネットワークに長く依存してきたため、
女性がトップどころか、そのネットワークに入るのも難しい。
3.政治的タイミングとチャンス
そして最後に重要なのが、**社会の変化期に訪れる“タイミング”**だ。
ドイツでは、東西統一後の混乱期に、
メルケル首相が求められた。
イタリアでは、政治不信が高まる中、
ジョルジャ・メローニ首相が“新しいタイプの保守”として登場した。
台湾のアイデンティティと中国本土からの民主主義を守ろうとする気運の中、蔡英文総統が登場した。
社会が「これまでとは違うリーダー」を求めるとき、女性首相は、分かりやすい変化。
女性が登場するチャンスが広がる。
これから
制度の柔軟性 × ×文化の柔軟性 × 政治的タイミング
個人の努力だけではなく、環境条件が揃うことも必要。
日本もようやく、その条件を少しずつ整え始めた。
「リーダーは男性」という、これまでの大前提を手放すほど、日本の政治変化が求められてる。
今までは首相が変わった際、ニュースで流れるほどには、あまり身近で話題にならなかった。でも今は、女性首相誕生したね!って話題が出るようになっただけでも、すごい進歩だと思う。
これからの変化が楽しみ。