最初は「英語の勉強になるかも」と思って、洋書を読み始めました。
とはいえ、レベルはごくやさしい、児童書。知っている単語ばかりで、辞書もほとんど使わずに読める内容でした。
それでも、「えっ、こんなに面白いの?」と、物語にどんどん引き込まれていきました。
続けていくうちに気づいたのは、洋書を読むことって、単なる英語の勉強ではなく、世界の見え方や自分自身の感覚をじわじわ広げてくれる習慣なんだということ。
ここでは、私が洋書を読んで感じた5つをご紹介します。
① 世界の情報に早くアクセスできる
英語を読めるようになると、世界で今何が話題になっているかをリアルタイムで知ることができます。
日本で紹介される前に、英語メディアやポッドキャストを通じて、新しいサービスや技術、人物について先に知ることもよくあります。
たとえば、Airbnb、Uber、ビットコイン、イーロン・マスク、スノーデン…。
私は「バイリンガルニュース」という英語×日本語のポッドキャストで、これらを日本で話題になる前から知っていました。
Airbnbに関しては、当初日本では規制が少なく、都内の空き物件を安く借りて、訪日外国人向けに少し高めで貸し出して利益を出していた企業も実際にありました。
Uberも、アメリカでは移動革命と呼ばれるほど注目されていたのに、日本で広まるのはだいぶ後でしたよね。
またYouTubeも、英語圏ではかなり早い段階から広告収益化が進み、動画を通じて生活していくYouTuberたちがすでに活躍していました。
こういう世界の流れを英語でキャッチできると、感度が高まり、チャンスにも早く気づける。
私はビットコインをわりと早く知っていたのに、行動できなかったのがちょっと心残りです(笑)。
② 想像力を広げてくれる「地理としての世界観」
洋書を読んでいると、地理的な感覚や文化のスケール感が自然と身についていくのを感じます。
たとえば、『アルケミスト』という小説では、スペインからアフリカに船で渡り、そこから砂漠を越えてエジプトのピラミッドを目指す壮大な旅が描かれます。
こうした地理的スケールのある物語は、日本の小説ではあまり見かけない構成かもしれません。
もちろん、地図アプリやYouTubeで地名や景色を確認することもできますが、自分の頭で想像をふくらませる時間は、やっぱり「本」ならではの体験。
英語で、物語の中で登場人物と一緒に旅をしているような感覚を味わうことで、世界がより身近に感じられるようになりました。
また、英語で書かれた伝記を読んでいると、「この人、世界ではものすごく有名なのに、日本ではあまり知られていないんだな」と思うこともあります。
そういった人物の人生をたどるのも、視野が広がって面白い体験のひとつです。
③ 日本語の見え方も変わってくる
英語を読むようになってから、日本語の特徴にも気づくようになりました。
たとえば、日本語は漢字があるおかげで、見ただけでなんとなく意味が推測できることが多いです。
「膠原病(こうげんびょう)」のような難しい言葉でも、「病」という文字があるだけで「病気の名前だな」とピンときますよね。
一方、英語はどちらかというと「音の言語」。意味がわからなくても、耳に残る響きだったり、「発音は知ってるけど書けない単語」だったり、まったく違う感覚で言葉をとらえることになります。
そうした違いを体験することで、言語って単なる翻訳ツールではなく、文化や思考の背景と深く結びついているんだなと実感しました。
④ 正しい英語で、表現力や言葉のセンスが育つ
洋書のもうひとつの魅力は、正しくて自然な英語にたくさんふれられることです。
本になっている英語は、著者の執筆だけでなく、編集や校正など複数の目を通して丁寧に仕上げられています。
そのため、文法的に正しく、リズムや表現も洗練されていて、お手本としてとても信頼できる英語なんです。
多読を続けていると、語順や自然な言い回しが少しずつ体にしみ込んできて、「英会話でも文法を意識しすぎずに言葉が出てくる」という感覚が育っていきます。
これは日本語でも同じで、言葉の選び方が上手だったり、話題が豊富だったりする人は、やっぱり読書家が多いなと感じます。
英語でも、コツコツ読んでいくことで、自分の中の「ことばのセンス」が少しずつ育っていくような気がしています。
⑤ 多読だけではカバーできない「発音」は、別で意識
英語の多読は、読む力や語彙、リズム感を育ててくれますが、発音の練習には直接つながらないという面もあります。
私自身、発音があいまいな単語に出会うと、読み進めるペースが落ちることがよくありました。
なので、気になる単語や表現は、声に出して読む・辞書で発音を確認するという習慣を意識しています。
最近は、ChatGPTさんのようなAIに発音をチェックしてもらったり、イントネーションのアドバイスをもらったりできるので、とても助かっています。
私は、1日5分程度でも発音に集中する時間をとることを意識していて、それを毎日コツコツ続けてきました。
多読とあわせて音の練習も取り入れることで、リスニングやスピーキングの手応えもぐっと変わってきます。
おわりに ― 洋書は「世界とつながる習慣」
英語の本を読むことで、英語の力がつくだけでなく、世界との距離が縮まり、自分の感覚や視点が変わっていくのを実感しています。
情報に敏感になる力、地理的な世界観、言語への気づき、表現力、発音の意識――。
どれも、1冊ずつ洋書を読む中で少しずつ育ってきたものです。
難しい本を読む必要はありません。やさしいレベルのものから、楽しく続けることが一番。
これからも、洋書との出会いを通じて、自分なりの「世界とのつながり」を広げていきたいと思います。