Frances H. Burnett 著 『The Secret Garden(秘密の花園)』は、100年以上前に書かれた児童文学の古典ですが、今読んでも心に沁みる再生と希望の物語です。
disagreeable(嫌な感じの)少女だった主人公
主人公のメアリーは、イギリスの裕福な家庭に生まれ、インドで使用人たちにわがままに育てられた「disagreeable(嫌な感じの)」少女。両親を病で亡くし、10歳でイギリス・ヨークシャーにある叔父の屋敷「Misselthwaite Manor」へ引き取られます。
この屋敷は600年もの歴史をもち、100もの部屋がある広大な場所。しかし、ほとんどの部屋は閉ざされ、屋敷は暗く冷たい印象。叔父は長く家を空け、屋敷に残されたメアリーは孤独の中で日々を過ごします。
そんなある日、使用人マーサの弟・自然と動物を愛する12歳のディコンと出会い、アイビーで覆われたThe Secret Garden**“秘密の花園”**の扉を見つけます。
そして、屋敷の奥深くで隠れるように暮らしていた、病弱で車椅子生活をしているいとこのコリンとも出会うのです。
誰にでも記憶にある、子供の頃の秘密基地→ The Secret Garden
この“秘密の花園”を、メアリー・ディコン・コリンの3人でこっそりと手入れし育てていくうちに、それぞれが少しずつ元気を取り戻し、子どもらしい好奇心や笑顔を取り戻していく様子が描かれます。
読みながら、自分も子どもの頃に友達と作った“秘密基地”を思い出しました。誰にでも一度はある、小さな世界を大切にする時間。そんな記憶をくすぐられ、期待を裏切らない物語の展開にほっこり心があたたまります。
仮定法はこういう場面にも使うのか!?
物語後半では、ディコンの母がコリンの父(メアリーの叔父さん)に手紙を書きます。
“I would come home if I was you. I think you would be glad to come. If I may say, I think your lady would ask you to come if she were here.”
この一節に、私は仮定法の奥深さとやさしさを感じました。
「帰ってきてください」と命令的に言うのではなく、「もし奥様が生きていたら、きっと帰ってきてと言うでしょう」と、間接的に思いを伝える表現。
英語を学んでいる身としても、こうした言葉の選び方に感動しました。文法として学んだときは、難しく感じ、何でわざわざこのような言い方を、と思っていました。
子どもたちの成長だけでなく、大人たちの心の変化も静かに描かれた本作。
自然の力、優しい言葉、人とのつながりがもたらす癒しに触れられる一冊です。
英語多読向けデータ
この本は多くの**簡易版(Graded Readers)**が出版されており、自分のレベルに合ったバージョンを選ぶことができますし、英語多読におススメです。