アメリカの小学生の Judy Moody(ジュディ・ムーディ)のシリーズ、第12巻。
感情の起伏が激しく、ちょっと短気で“ムーディー”なところもあるけれど、ユニークな発想と行動力でまわりを驚かせるタイプ。
何かに夢中になると止まらないエネルギーを持ち、弟の Stink(スティンク) と仲良くケンカしながら、日々成長中。
「測る」ことで世界が広がる――Mr. Toddの算数の授業
ジュディ・ムーディの担任の先生、Mr. Todd(トッド先生)は、ある日こんなふうに授業を始めます。
“Time to measure up. Today, we begin our new math unit. We’re going to go distance. We’re going to have gallons of fun!”
「さあ、測る時間だよ!今日は新しい算数の単元に入るよ。たくさん距離を測って、たっぷり楽しもう!」
この日は「distance (距離)」がテーマ。
子どもたちは自分の親指(thumb)や足(foot)を使って、教室の長さや机、ペン、さらには校長室までの距離など、身近なものを“自分の身体”で測っていきます。
トッド先生は、さらに子どもたちの興味を引くお話を続けます。
“In ancient times, the length of your foot or the width of your thumb could be used to measure things.”
「昔は、自分の足の長さや親指の幅で物の長さを測っていたんだよ。」
“In old England, the King made a rule that if you took three grains of barley and put them end to end, that made an inch.”
「昔のイギリスでは、王様が『大麦3粒を端から端まで並べた長さを1インチとする』というルールを作ったんだ。」
算数の時間の、「長さ」というテーマが、歴史の知識と結びついていく――。
この一言で、子どもたちの世界がぐっと広がります。
ジュディたちは、自分たちの足で距離を測るうちに、
自由の女神のトーチは12フィート7インチの長さだとか、
アメリカ合衆国の国土はおよそ3,000マイルもあるという、
知識として覚えるだけでなく、体感として実感しやすくなっているのが印象的です。
そして授業の最後、先生から出された宿題がこちら:
“Over the weekend, think of something you’d like to measure, and come up with a unique way to measure it. On Monday, we’re going to make our own rulers.”
「週末の間に、自分が測ってみたいものを考えて、それを測るユニークな方法を考えてみてごらん。月曜日には、**自分だけの定規(ruler)**を作るよ。」
📝 学ぶ:体で感じ、想像して、自分オリジナルを考えてみる
この場面には、「学びって本来こういうことかもしれない」と思わせてくれる要素が詰まっていて、とても印象に残りました。
ただ数字を覚えるだけでなく、
- 自分の身体で長さを感じること
- 歴史ともつなげて理解を深めること
- そして自分だけのオリジナル「定規」を想像して作ること
こうした学びは、子どもたちの世界をぐんぐんと広げてくれる気がします。
日本の算数では、掛け算九九を繰り返し練習するような記憶重視のスタイルが主流ですが、(私が小学生だった頃は)
このJudy Moodyの世界では、体験から始まる学びや、自由な発想を尊重する教育が描かれていて、そこに日米文化や教育の違いを感じ、とても興味深かったです。
『Judy Moody, Mood Martian』は、およそ15,000語のボリュームで、ここに書ききれないほどのエピソード(全11話)がぎゅっと詰まっています。
小学生の日常をユーモアたっぷりに描きつつ、言葉遊びや歴史・算数などの教科にもさりげなくつながる内容は、
読み慣れてきた頃に、ぜひ手に取ってほしいおすすめの一冊です。