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英語多読おススメ The Happy Prince and Other Stories 幸福な王子

The Happy Prince and Other Stories 幸福な王子

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ラダーシリーズの一冊『The Happy Prince and Other Stories』には、オスカー・ワイルドの短編が6作品収録されています。子どものための童話のように見えて、実はどの物語も、大人の心に静かに問いを投げかけてきます。

表題作「The Happy Prince」では、お城の中で何不自由なく暮らしていた王子が、死後、町の高台に銅像として立てられます。そこから見える現実は、貧しさと孤独にあふれた人々の生活。王子は自分の装飾品や宝石を、小さなツバメの力を借りて少しずつ分け与えていきます。その献身はやがて、彼の「美しさ」そのものを失わせていきますが、彼は満ち足りた表情を浮かべています。

また、「The Nightingale and the Rose」では、若い学生が恋を成就させるために赤いバラを必要とし、それを知ったナイチンゲール(小鳥)は、自らの命と引き換えにその花を咲かせます。

“Love is wiser than Philosophy, though Philosophy is wise, and stronger than Power, though Power is strong.”

「愛は哲学よりも賢く、力よりも強い」
ナイチンゲールが命を賭して信じた愛の言葉。詩のように美しく、深い覚悟が込められています。

“What a terrible thing Love is,” said the student as he walked away.

「愛なんて、なんてばかばかしいんだ」
この学生のひとことが、ナイチンゲールの献身と強烈な対比になっており、残酷さを際立たせます。

ナイチンゲールの自己犠牲は、結局、報われることがありません。

どちらの話にも、単なる善悪では語れない現実や、人の心の移ろいやすさ、そして「美しさとは何か」という問いが潜んでいます。ハッピーエンドを期待して読むと、少し胸が痛むかもしれません。でもだからこそ、この短編集は、子どものためというより、むしろ大人が静かにページをめくるのにふさわしい一冊だと感じました。

英語もシンプルで、ラダーシリーズならではの読みやすさ。けれど、語彙以上に深く、考えさせられる読書体験でした。

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