先天的に「ゾンビのような顔」で生まれた少年と、その家族や学校の友人たちとの物語です。
主人公は、クラスや学校ですれ違う生徒たちが「失礼だから二度見してはならない、けど見たい」、ほどの「ゾンビのような顔」で生まれ、まるで感染病患者のように周囲から距離を置かれます。背後でヒソヒソと噂されるのも感じながら、それでもどうやって友達をつくり、この世界で生き抜いていくかに奮闘します。
「ゾンビのような顔」というのはフィクションとして少し大げさに表現されている部分もあると思いますが、その外見ゆえに悪目立ちしてしまい、「普通にみんなの中に溶け込みたい」と願う気持ちは、日本の子どもたちと同じく、アメリカのティーンエイジャーにも共通している悩みなのだと感じました。
物語全体を貫くテーマは、次の言葉に凝縮されているように感じます。
Your deeds are your monuments.
We should be remembered for the things we do. The things we do are the most important things of all. They are more important than what we say or what we look like. The things we do outlast our mortality. The things we do are like monuments that people build to honor heroes after they’ve died. They are like the pyramids that Egyptians built to honor the pharaohs. Only instead of being made out of stone, they’re made out of the memories people have of you. That’s why your deeds are like your monuments, built with memories instead of with stone.
私たちは、自らの行いによって記憶されるべきだ。
私たちのすることこそが、すべての中で最も大切なものだ。
それは、私たちが何を言ったかや、どんな姿だったかよりも大切で、
私たちの死を超えて、なお残り続ける。
私たちの行いは、死んだ後に英雄を讃えるために人々が建てる記念碑のようなものだ。
それは、エジプト人がファラオのために築いたピラミッドのようでもある。
ただし、それは石でできているのではない。
それは、人々の中に残る、あなたの記憶でできている。
だからこそ、あなたの行いは、あなた自身の証なのだ。
石ではなく、人々の記憶によって築かれる証なのだ。
この言葉が示すように、主人公の少年も、周囲の人々も、それぞれが「外見」や「言葉」ではなく、「行い」を通して互いに影響しあい、時に喧嘩をしながら、心を通わせていきます。
主人公をはじめ、姉、姉のボーイフレンド、学校の友達など、複数の視点からテンポ良く描かれる物語に引き込まれ、ページをめくる手が止まりません。
約7万語とボリュームがありますが、英語多読に慣れてきた頃にぜひ挑戦したい一冊です。