主人公のMatildaは、小学校に上がる前にすでにチャールズ・ディケンズやヘミングウェイ、ラドヤード・キップリングといった名作を読破してしまう、驚くほど聡明な女の子です。
けれども、彼女の両親は、そんなMatildaにまったく関心を持ちません。たとえ彼女がケガをして松葉づえで帰ってきたとしても、知らん顔でしょう。
父親の仕事は、中古車のメーターをごまかし「ほとんど新品!」と嘘をついて売るような詐欺まがいの商売です。
Matildaは心の中でこう思います:
“All the reading she had done had given her a view of life that they had never seen.
If only they would read a little Dickens or Kipling they would soon discover there was more to life than cheating people and watching television.”
(たくさん本を読んできたおかげで、彼女は両親とはまったく違う世界の見方を身につけていた。もし両親もディケンズやキップリングを少しでも読めば、人をだましたりテレビばかり見ている以外にも、人生にはいろいろあるってことがわかるのに――)
そんな無理解な両親に対して、Matildaはかしこく、ユーモアのある「仕返し」をします。ある日、お友達から「rattle my bones(恐怖で身震い…)」としか話せないオウムを借りてきて、家の暖炉の中にこっそり隠すのです。夜中に聞こえてくる不気味な声に、両親は「幽霊が出たー!」と大騒ぎ!
こんなふうに、Matildaの仕返しはちょっとした芸術作品のように巧妙で痛快。読みながら思わずクスッとしてしまいます。
やがてMatildaは学校に通うようになり、Matildaの才能に気づいてくれる担任のMiss Honeyと出会うことで、物語は思いがけない展開へと進んでいきます。
4万語と語数も多く、英語には少し難しい単語も多いですが、読んでいるうちにどんどん物語に引き込まれていきました。
読書の力、子どもたちの可能性、そしてユーモア。Roald Dahlの魅力がたっぷり詰まった一冊です。