1. 「Born a Crime(罪として生まれる)」というタイトル
- トレバーは白人の父と黒人の母の間に生まれたため、当時のアパルトヘイト法では**「違法な存在」**だった。
- 公の場で父と一緒に歩けず、母とも外では手をつなげなかった。
→ **「存在そのものが犯罪」**というスタートライン。
2. 母パトリシアの強さと信仰
- 母は教育と信仰を重視し、危険を顧みずにトレバーを育てた。
- 「神を信じること」と「現実を生き抜くこと」が同居している。
3. 言語とアイデンティティ
- トレバーは英語、ズールー語、コサ語、アフリカーンス語などを操る。
- 言葉を通して「どの集団にも属せる」ことを学んだ。
→ 言葉が社会的な壁を越える武器になっている。
4. 貧困とユーモア
- 犯罪に手を染める少年時代もあるが、それをユーモアで語る。
- 「生き延びるための知恵」としての笑い。
トレバーノアについては、Netflixのコメディーショーを見て、アパルトヘイトなど重たい社会問題をこんなに面白おかしくショーにできるの?!と感動して、自伝本も読んでみたいと思いました。
90,000語程度あって長編なので、英語多読の初めてには向かないですが、
「アパルトヘイト」というテーマを、「どんだけ辛かったかの被害者意識」ではなく、「物語として笑いと知恵に変える力」に昇華し、そこで生まれ育った少年の視点で「体験として理解」できる本です。また、今まで自分が受けてきたアパルトヘイトに関する歴史教育は欧米側からの視点なんだなと、気づかされます。
彼の語りのリズムやユーモアがあるからこそ、「差別」という重いテーマでも読後感が明るく未来に希望が持てる、と思います。