ブラッシュアップライフ

英語学習の壁は、「いいね!」にあった?

ーー「いいね!」って、本当に“自分の気持ち”?

なんとなく同じ。でも、実はちがう?

SNSでよく目にする「いいね!」という言葉。英語では「Like!」と訳されます。
一見、同じように思えるこの二つ。SNS上では同じような意味で使っていると思います。

でも、日常で使う言葉として見てみると、じつはけっこうニュアンスが違うのかもしれません。

日本語の「いいね!」は評価のラベル?

日本語の「いいね!」は、たとえば
「それ、いいね!」とか「〇〇ちゃん、いいね!」といったふうに、目の前の誰か、何かに対して、軽く肯定を伝える言葉です。
この「いいね!」には、「Good(良い)」という評価のニュアンスが含まれていて、話し手自身の気持ちというより、「それは良いこと」と目の前の物や状態にラベルを貼るような印象があります。

英語の「Like」は“私”が主語

一方で英語の「Like」は、「I like it.(私はそれが好き)」という形が基本。
これは「良い・悪い」という価値判断ではなく、「好き・嫌い」という感情そのもの。
他人の意見とは関係なく、主語は常に“私”。あくまで話し手の気持ちが中心になります。

「いいね!」って、誰の感情?

ここでちょっと考えてみたくなりました。
私たちが「いいね!」と言うとき、それは本当に「自分が好き」だから?
それとも、「その状況が良さそうに見えるから」なのでしょうか?

曖昧さを含んだ日本語 ― ハイコンテクスト文化の特徴

おそらく、日本語の「いいね!」には、「良いね」という評価と、「私は好き」という気持ちが、曖昧に混ざっています。
どちらの意味で言っているのかは、文脈や空気を読まないと伝わりません。
こうした曖昧さは、日本語が「ハイコンテクスト文化(High Context)」の言語であることとも関係しています。

ハイコンテクスト文化では、言葉にすべてを明確にせず、前提知識や空気感、非言語的な情報に多くを委ねます。
だから「いいね!」一言にも、たくさんの意味が詰め込まれているのです。

「好きを言語化する技術」が求められる理由


自分の感情や価値観を言葉にして、誰かにちゃんと伝えること。

それは、案外やってこなかった事。なんとなく普段空気を読みながら話していて、自分が何で好きなのかを言葉で明確にするって、自分と向き合うための作業、習っていない気がします。

そうした背景を考えると、「好きを言語化する技術」という本が注目されている理由も、少し見えてきます。習ってないから、教えてもらいたい!

英語はローコンテクスト ― 明示が基本の文化

一方、英語は「ローコンテクスト文化(Low Context)」の言語。
前提や空気よりも、言葉そのものに意味を込めて伝えるスタイルです。
だからこそ、「I like it.」のように、主語や気持ちをはっきり表現することが求められます。

英語学習がむずかしく感じる理由のひとつは、ここにあるのかもしれません。
私たちは普段、あえて言葉にしなくても伝わる文化の中で生きています。
でも英語を学ぶには、「私は何が好きか」「なぜそう思うのか」を、はっきり言葉にする必要がある。

曖昧な日本語から、言葉で伝える英語へ

つまり、英語学習とは単に語彙や文法を覚えることではなく、
空気を読む”日本語の世界から、“言葉で伝える”英語の世界へ、文化的にジャンプすることでもあるのです。

「いいね!」と「Like」は、同じじゃない。
「いいね!」と心が動いたとき、「I like」と声にしてみる。


そうすれば、世界も、自分も、ほんの少しだけ鮮やかに、明確に見えるかもしれない。

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