邦題:10歳、ベトナムをあとにして
語彙数:約14,000語
英語圏での対象年齢:8歳〜12歳
英語レベル:中学卒業〜高校英語レベル
物語の年代と舞台の場所:1975年、ベトナム(サイゴン)からアメリカ(アラバマ)へ
ジャンル:児童文学(米国ニューベリー賞受賞作)
コミュニストによるサイゴン陥落により、サイゴンから船で脱出するベトナム少女とその家族の物語を、少女の視点で描かれます。アメリカ船に救助され、グアムへ。その後、フロリダ、そしてアラバマへ。
アメリカでの新生活の葛藤、言葉の壁、いじめ。全編が自由詩という形式で書かれており、その短く削ぎ落とされた言葉が、逆に彼女の心の痛みを鮮烈に伝えます。難民、移民の苦労を乗り越え、新しい土地に根を張ろうとする家族の再生の記録です。
日本の教科書で習えば、こう書かれるかもしれません。「ベトナム戦争でサイゴン陥落時、多くのベトナム人がアメリカへ亡命した。」
事実としては正しい。けれど、その一文の中には、
・家や国を捨てる決断
・父の不在
・船上での不安
・言葉の通じない国への移動
そうした感情の震えは含まれません。
この本は、難民という歴史的な記号や知識だけではなく、一人の少女の視点に立つことで、世界の見え方が広げてくれます。洋書を読む醍醐味を感じる一冊です。