『プラネテス』宇宙を舞台に“人間の生き方”を描くSF漫画

『プラネテス』は、宇宙を舞台に“人間の生き方”を描いたSF漫画の傑作

今回紹介するのは『プラネテス』です。
この作品をひとことで言うなら、「宇宙という途方もなく広い場所を舞台にしながら、人間の弱さ、夢、孤独、愛を描き切ったSF人間ドラマ」です。

宇宙漫画と聞くと、ロケット、宇宙飛行士、未知の惑星、壮大な冒険を想像する人も多いと思います。
もちろん『プラネテス』にも、そうしたSFとしての面白さはしっかりあります。

ただ、この作品の本当にすごいところは、宇宙を描きながら、最終的にはものすごく人間くさい物語になっているところです。
宇宙の広さを知れば知るほど、人間の小ささや弱さが浮かび上がる。
そして、その小さな人間が、それでも誰かを愛し、何かを目指して生きていく。

今回は、そんな『プラネテス』の魅力を、自分なりの視点で書いてみたいと思います。

目次

この作品はどんな漫画か

『プラネテス』は、幸村誠先生によるSF漫画です。
舞台は、宇宙開発が進み、人類が地球の外で働くことが当たり前になりつつある近未来。

主人公の星野八郎太、通称ハチマキは、宇宙空間に漂うデブリ、いわゆる宇宙ゴミを回収する仕事に就いています。
宇宙という華やかなイメージとは裏腹に、彼らの仕事は危険で、地味で、過酷です。

宇宙開発の裏側には、夢だけではなく、労働、格差、事故、政治、差別、テロ、企業の論理など、さまざまな現実があります。
『プラネテス』は、そうした宇宙時代のリアルを描きながら、その中で生きる人々の葛藤を丁寧に描いていく作品です。

一見すると「宇宙ゴミ回収業者の話」なのですが、読み進めるほど、これは仕事の話であり、夢の話であり、人間がどう生きるのかを問う物語なのだと感じます。

ここが面白い

この作品の面白さは、まず宇宙を特別な場所としてだけ描かないところにあります。
宇宙はロマンの場所であると同時に、誰かにとっては職場であり、生活の場でもある。
そこにリアリティがあります。

ハチマキたちは、宇宙で働いていますが、悩んでいることはとても人間的です。
仕事への不満、将来への焦り、夢への執着、人間関係のすれ違い、自分は何者なのかという不安。
地球にいても宇宙にいても、人間が抱える問題は変わらないのだと思わされます。

そして、この作品はSFとしてのスケールも非常に大きいです。
宇宙開発の進歩、木星探査計画、国家や企業の思惑、貧困国との格差。
宇宙という未来を描きながら、今の社会にもつながる問題が自然に織り込まれています。

特に面白いのは、宇宙に行くことが単なる夢や希望だけではない、という描き方です。
人類が宇宙へ進出しても、そこにはやはり人間の欲望や争いがある。
でも同時に、それでも人は前に進もうとする。
この両方を描いているからこそ、『プラネテス』はただのSF漫画では終わらないのだと思います。

この作品が刺さる人

この作品は、こんな人におすすめです。

宇宙やSFをテーマにした漫画が好きな人
人間ドラマの深い作品を読みたい人
仕事や人生について考えさせられる漫画が好きな人
夢を追うことの厳しさと美しさを味わいたい人
『ヴィンランド・サガ』など、幸村誠先生の作品が好きな人
短い巻数で濃密な名作を読みたい人

逆に、派手なバトルやテンポの速い展開だけを求める人には、少し静かに感じるかもしれません。
ただ、じっくり人物の内面を追いかける作品が好きな人には、かなり深く刺さると思います。

私が特に好きなポイント

個人的に『プラネテス』で特に好きなのは、宇宙の広さと人間の小ささを、真正面から描いているところです。

宇宙に出れば、人間はもっと自由になれるのか。
夢を叶えれば、人は満たされるのか。
遠くへ行けば、自分の中の孤独から逃れられるのか。

この作品は、そうした問いを何度も投げかけてきます。
ハチマキは宇宙を目指し、もっと遠くへ行こうとしますが、その過程で自分の弱さや孤独とも向き合うことになります。
その姿がとてもリアルなんですよね。

また、田名部愛というキャラクターの存在も非常に大きいです。
彼女のまっすぐすぎるほどの「愛」という価値観は、時に青臭く見えるかもしれません。
でも、宇宙という冷たく無機質な場所を舞台にしているからこそ、その言葉や行動が強烈に響いてきます。

※ここから少しネタバレを含みます。
物語が進むにつれて、ハチマキは夢に近づいていきます。
しかし、夢に近づくほど、自分が何を犠牲にしているのか、何から目を背けているのかも見えてくる。
このあたりの描写が本当に見事です。

宇宙へ行く話なのに、最終的には「人は一人では生きられない」という、とても根源的なところにたどり着く。
そこが『プラネテス』という作品のすごさだと思います。

まとめ:なぜ今すすめたいのか

『プラネテス』は、宇宙を舞台にしたSF漫画でありながら、描いているテーマはとても普遍的です。
仕事とは何か。
夢とは何か。
愛とは何か。
人はどこまで行けば満たされるのか。

壮大な宇宙を描きながら、最後に残るのは人間の心の物語です。
だからこそ、連載から時間が経っても色あせない名作なのだと思います。

巻数としても比較的手に取りやすく、それでいて読後感は非常に濃い作品です。
SFが好きな人はもちろん、人生や仕事に少し迷っている人にも読んでほしい一作です。

宇宙の広さを感じながら、自分自身の生き方にも目を向けたくなる。
そんな漫画です。

気になった方は、ぜひ一度手に取ってみてください。

今回は『プラネテス』を紹介しました。
これからも「明日、誰かにすすめたくなる漫画」を、1日1作品ずつ気ままに書いていこうと思います。

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