今回紹介するのは『3×3 EYES』です。
この作品をひとことで言うなら、「不死の力を持つ少女と、彼女を守る少年が“人間になる”ために世界を駆ける伝奇冒険漫画」です。
1990年代の漫画好きにとって、この作品の存在感はかなり大きかったと思います。
当時の青年漫画らしい少しダークな雰囲気、異国情緒あふれる世界観、オカルト、バトル、恋愛、冒険。
いろいろな要素が詰め込まれていて、一度読み始めると独特の熱量に引き込まれる作品です。
タイトルだけ見ると少し不思議な印象を受けるかもしれません。
でも実際に読んでみると、これは単なる妖怪バトル漫画ではありません。
「人間とは何か」「永遠に生きることは幸せなのか」「誰かを守るために自分はどこまで変われるのか」といったテーマまで含んだ、かなり骨太な物語です。
今回は、そんな『3×3 EYES』の魅力を、自分なりの視点で書いてみたいと思います。
目次
この作品はどんな漫画か
『3×3 EYES』は、高田裕三さんによる伝奇冒険漫画です。
物語の中心にいるのは、三只眼吽迦羅という不老不死の種族の少女・パイ。
そして、彼女と出会った少年・藤井八雲です。
八雲は、パイとの出会いをきっかけに命を落としかけますが、パイの力によって“无”という不死身の存在になります。
そこから二人は、パイを普通の人間にするための方法を探して、世界各地を旅していくことになります。
この設定が、まず抜群に面白いです。
不老不死の少女が望んでいるのは、永遠の命ではなく“人間になること”。
そして、普通の少年だった八雲は、彼女を守るために人ではない存在になってしまう。
普通に考えると、永遠の命や強大な力は魅力的に見えます。
でもこの作品では、その力が必ずしも幸せとは限らないものとして描かれます。
だからこそ、冒険漫画でありながら、どこか切なさが残るんですよね。
ここが面白い
この作品の面白さは、まず世界観の濃さにあります。
チベット、香港、インド、妖魔、呪術、神話、不老不死。
そうした要素が物語の中に自然に溶け込んでいて、読んでいるだけで異世界を旅しているような感覚になります。
今の漫画と比べても、かなり独特の空気があります。
明るい冒険活劇というより、少し湿度があって、少し怖くて、でもロマンがある。
この“伝奇もの”ならではの雰囲気がたまらない作品です。
そして、八雲の成長も大きな魅力です。
最初は巻き込まれ型の少年だった八雲が、パイを守るために戦い、傷つき、何度も立ち上がっていく。
不死身だから強い、という単純な話ではありません。
むしろ不死身だからこそ何度も苦しむし、痛みも背負う。
それでも守りたい人のために前へ進む姿が、非常に熱いです。
また、パイというヒロインも魅力的です。
無邪気でかわいらしい面がありながら、三只眼としての神秘性や危うさも持っている。
一人の少女の中に、守りたくなる弱さと、畏怖すべき力が同居しているところが、この作品ならではのヒロイン像だと思います。
この作品が刺さる人
この作品は、こんな人におすすめです。
伝奇もの、オカルト、神話系の世界観が好きな人
人外の力や不老不死をテーマにした物語が好きな人
少年少女の絆や成長を描く冒険漫画が好きな人
1990年代の濃い青年漫画の空気を味わいたい人
長編でじっくり世界観に浸れる作品を探している人
逆に、最初からテンポの速い現代的なバトル漫画だけを求める人には、少し濃く感じるかもしれません。
ただ、世界観にどっぷり浸かるタイプの漫画が好きな人には、かなり刺さる作品だと思います。
私が特に好きなポイント
個人的に『3×3 EYES』で特に好きなのは、“人間になりたい”という願いを物語の中心に置いているところです。
普通、ファンタジーやバトル漫画では、強い力を手に入れることが物語の目的になりがちです。
でもこの作品では、強大な力を持つ存在が、その力を手放してでも普通の人間になりたいと願う。
ここが非常に面白いです。
営業や仕事の世界でも、肩書きや力を手に入れることが目的になってしまうことがあります。
でも本当に大事なのは、「何のためにその力を使うのか」「誰のために動くのか」だったりします。
八雲とパイの関係を見ていると、ただ強くなることよりも、誰かとどう生きるかの方がずっと大事なのだと感じさせられます。
また、作品全体にただよう“異国へのあこがれ”も魅力です。
インターネットで何でも調べられる今とは違い、当時の漫画で描かれる海外や神話、呪術の世界には、独特の未知へのワクワク感がありました。
『3×3 EYES』には、その時代ならではの冒険漫画の熱気がしっかり詰まっています。
※ここから少しネタバレを含みます。
八雲は不死身の存在になりますが、それは決して都合のいい無敵設定ではありません。
むしろ、何度傷ついても死ねないこと、守るために戦い続けなければならないことが、彼の宿命としてのしかかってきます。
それでも八雲は、パイとともに歩むことを選び続けます。
この関係性が、単なる恋愛でも、単なる主従関係でもないところが良いんです。
お互いに足りないものを補い合いながら、長い旅を続けていく。
この二人の絆こそが、『3×3 EYES』最大の読みどころだと思います。
まとめ:なぜ今すすめたいのか
『3×3 EYES』は、伝奇冒険漫画として非常に完成度の高い作品です。
不老不死、妖魔、神話、異国、バトル、恋愛、成長。
これだけ多くの要素を詰め込みながら、物語の中心には常に「人間になりたい」という切実な願いがあります。
今読むと、90年代漫画ならではの濃さや勢いを感じると思います。
でも、その濃さこそがこの作品の魅力です。
最近のスマートな漫画とは違う、ページから熱が立ち上がってくるような迫力があります。
長編なので一気に読むには少し気合いがいります。
ただ、パイと八雲の旅に一度入り込むと、その世界観からなかなか抜け出せなくなるはずです。
伝奇漫画が好きな人。
不老不死や神話をテーマにした物語が好きな人。
そして、少し懐かしいけれど今読んでも熱い冒険漫画を探している人には、ぜひ手に取ってほしい一作です。今回は『3×3 EYES』を紹介しました。
これからも「明日、誰かにすすめたくなる漫画」を、1作品ずつ気ままに書いていこうと思います。