『デカスロン』十種競技の熱さを全身で浴びる“キング・オブ・アスリート”漫画

今回紹介するのは、山田芳裕先生の『デカスロン』です。
この作品をひとことで言うなら、「不器用だけど規格外の男が、十種競技という過酷な競技で世界に挑んでいく熱血スポーツ漫画」です。

『デカスロン』というタイトルだけ聞くと、少し馴染みがない人も多いかもしれません。
デカスロンとは、陸上の十種競技のことです。

100m、走り幅跳び、砲丸投げ、走り高跳び、400m。
さらに、110mハードル、円盤投げ、棒高跳び、やり投げ、1500m。

この10種目を通して、総合力を競う競技です。
まさに“キング・オブ・アスリート”を決める競技と言ってもいいと思います。

そしてこの漫画は、その十種競技の面白さを、漫画の熱量で一気に読ませてくれる作品です。

目次

この作品はどんな漫画か

『デカスロン』は、主人公・風見万吉が、十種競技に挑んでいく物語です。
元高校球児で、競技経験としては決して完成された選手ではない万吉。

でも、とにかく身体能力が高い。
そして何より、前に進む力がすごい。

技術が足りない。
経験も足りない。
知識もまだまだ足りない。

それでも、持ち前の運動能力と、周囲を巻き込むような熱さで、十種競技の世界に飛び込んでいきます。

この作品の面白いところは、単純に「才能ある主人公が勝ち上がる話」ではないところです。
十種競技は、ひとつの種目だけ強ければ勝てる競技ではありません。

走る力。
跳ぶ力。
投げる力。
持久力。
メンタル。
そして、2日間を戦い抜く総合力。

一種目で失敗しても、次の種目で取り返す。
得意種目で点を稼ぎ、苦手種目でどれだけ踏ん張れるか。
その積み重ねが勝負を決めていきます。

だからこそ、読んでいる側も「次の種目でどうなるんだ」と、自然と引き込まれていきます。

ここが面白い

この作品の面白さは、まず十種競技という題材そのものにあります。

スポーツ漫画といえば、野球、サッカー、バスケ、格闘技などが王道です。
でも『デカスロン』は、陸上の中でもさらにマニアックな十種競技を真正面から描いています。

普通なら地味になりそうな題材です。
ところが、この漫画はまったく地味ではありません。

むしろ、めちゃくちゃ熱いです。

一種目ごとにドラマがあり、記録があり、駆け引きがある。
そして得点が積み上がっていくことで、試合全体の流れがどんどん変わっていく。

これは営業で言えば、1回の商談だけで勝負が決まるのではなく、初回接点、ヒアリング、提案、比較、稟議、クロージングまで、全部の総合点で勝負が決まるような感覚に近いです。

どこかで失敗しても、次の一手で取り返す。
得意な部分で差をつけて、苦手な部分では最低限踏ん張る。
この“総合戦”の面白さが、『デカスロン』にはあります。

さらに、山田芳裕先生ならではの絵の圧もすごいです。
キャラクターの表情、身体の動き、競技中の迫力。
きれいに整ったスポーツ漫画というより、汗、土、息づかい、筋肉のきしみまで伝わってくるような漫画です。

読んでいると、こちらまで身体が熱くなってくる。
そんな作品です。

この作品が刺さる人

この作品は、こんな人におすすめです。

スポーツ漫画が好きな人
努力と才能がぶつかる物語が好きな人
マイナー競技を熱く描いた漫画に惹かれる人
不器用だけど前向きな主人公が好きな人
一発勝負ではなく、積み上げ型の勝負に面白さを感じる人
営業や仕事でも、総合力で勝つ感覚に共感できる人

逆に、最初から洗練された主人公や、スマートな勝負展開を求める人には、少し泥臭く感じるかもしれません。

でも、その泥臭さこそが『デカスロン』の魅力です。
かっこよく勝つのではなく、必死にもがきながら前に進む。
その姿に、読む側もだんだん引っ張られていきます。

私が特に好きなポイント

個人的に『デカスロン』で特に好きなのは、十種競技という競技が、人生そのもののように描かれているところです。

人には得意なこともあれば、苦手なこともあります。
全部が完璧な人なんて、なかなかいません。

でも、十種競技では、苦手な種目があるから終わりではありません。
他の種目で取り返せる。
粘れる。
最後まで戦える。

この構造がすごくいいんです。

仕事でも同じだと思います。
話すのが得意な人。
資料作成が得意な人。
数字管理が得意な人。
関係構築が得意な人。
クロージングが得意な人。

すべてが最初から完璧でなくても、総合力で勝負できる。
そして、自分の弱点を知りながらも、得意な部分で前に出ていく。

『デカスロン』を読んでいると、そんなことまで考えさせられます。

※ここから少しネタバレを含みます。
万吉は、競技者として決して最初から完成されているわけではありません。
むしろ粗い。
無茶もする。
周囲から見れば危なっかしい部分も多い。

でも、その粗さの中に、とんでもない可能性がある。
そして、その可能性に周囲の人間も引き寄せられていく。

この「未完成だけど目が離せない主人公」という魅力が、作品全体を強く引っ張っています。

まとめ:なぜ今すすめたいのか

『デカスロン』は、十種競技というマイナーな題材を、ここまで熱く、ここまで面白く描いた貴重なスポーツ漫画です。

派手な必殺技があるわけではありません。
超能力もありません。
でも、走って、跳んで、投げて、また走る。
そのシンプルな競技の中に、人間の限界と可能性が詰まっています。

一種目で終わらない。
一回の失敗で終わらない。
最後まで総合点で勝負する。

この考え方は、今読んでもかなり刺さります。

スポーツ漫画としても面白い。
人間ドラマとしても熱い。
そして、仕事や人生の勝負の仕方にも通じるものがある。

『デカスロン』は、もっと多くの人に読まれていい作品だと思います。
気になった方は、ぜひ一度手に取ってみてください。今回は『デカスロン』を紹介しました。
これからも「明日、誰かにすすめたくなる漫画」を、1日1作品ずつ気ままに書いていこうと思います。

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